【徹底取材】MV再生1,000万回超え!5人組バンド・トゲナシトゲアリの素顔

実は今、アニメと連動したとあるガールズロックバンドが注目を集めています。その名も「トゲナシトゲアリ」。Vo.理名(りな)・Gt.夕莉(ゆり)・Dr.美怜(みれい)・Key.凪都(なつ)・Ba.朱李(しゅり)からなる5人組で、2021年6月に行われたオーディション「Girlʼs Rock Audition」にて数千人の応募のなかから選ばれた精鋭たちが集結したバンドです。

同バンドはアニメ「ガールズバンドクライ」に登場する5人組。「トゲナシトゲアリ」としての活動はもちろん、「ガールズバンドクライ」で声優も務めています。公式YouTubeチャンネルには既に9本のMVが投稿されており、なかでも第5弾MV「爆ぜて咲く」は1000万回再生を突破し大きな話題を呼んでいます。

アニメは東映アニメーション・agehasprings・ユニバーサルミュージックの大手3社がタッグを組み、アニメーションとリアルバンドが融合した画期的なプロジェクトで、「ラブライブ!サンシャイン!!」で監督を務めた酒井和男監督をはじめ、豪華なクリエイターが集結するとあって業界内外から大きな話題を集めています。

今回は、そんな「トゲナシトゲアリ」のメンバーに独占インタビューを実施。彼女たちがオーディションを受けようと思ったきっかけや、各メンバーのお気に入り楽曲、メンバーが選ぶ他のメンバーの推しポイントなど、興味深いお話をたくさん伺いました。

それぞれ個人で細々と活動していた精鋭たちで結成された奇跡の5人組

──まずは、みなさんそれぞれ自己紹介をお願いできますでしょうか。ご担当のパートもあわせてお願いいたします。

朱 李:ベースを担当している朱李です。ガールズバンドクライではルパ役を担当しています。
美 怜:トゲナシトゲアリ・ドラムの美怜です。ガールズバンドクライでは安和 すばる(あわ すばる)役を担当しています。
理 名:トゲナシトゲアリでボーカルを担当している理名です。ガールズバンドクライでは井芹 仁菜(いせり にな)役をやらせてもらっています。
凪 都:トゲナシトゲアリのキーボード担当、ガールズバンドクライでは海老塚 智(えびづか とも)役を演じさせていただいています、凪都です。
夕 莉:ギター担当で、ガールズバンドクライの河原木 桃香(かわらぎ ももか)役をしている夕莉です。

──さっそくで恐縮なのですが、オーディション関連のお話をお伺いしたく、今回みなさんがGirls Rock Auditionを受けようと思ったきっかけをお伺いできますでしょうか。

朱 李:私はバンドとかベースで仕事がしてみたくて、アニメも好きなので、オーディションを探していたときにたまたまGirls Rock Auditionの記事を見て応募したんですけど、そのときは一度落ちていて。でも、不合格のメールが来た後に弾いてみたの活動をしていたXにagehaspringsからDMが届いて。(*)「Zoomでお話してみましょう」ということでお話を聞いてみたらGirls Rock Auditionのお誘いで、またオーディションを受けられることになりました。
*補足:応募した際は緊張で本来の実力を発揮できずに動画審査で落選したが、その後に弾いてみた用の活動名でXにアップしている動画をスタッフが見つけ、同一人物だと気付かずにお声がけしたとのこと。

美 怜:私は出身が川崎なんですけど(ガールズバンドクライの)舞台も川崎ということで、オーディションが始まったときにその情報自体は知っていたんですけどアニメーションの声優が主体になるのかなと思って。私もドラムでお仕事をしたいと思っていたんですけど、そのとき声優は特に考えてなくて受けてなかったんですが、Xに上げていたドラムの演奏動画を観てくださったagehaspringsの方から朱李ちゃんみたいにDMをいただきました。Zoomでプロジェクトのお話を聞いて「あ、あれだ!」と思って、これはご縁があるんだなと感じ受けさせていただきました。

理 名:このオーディションのことは知らなかったんですけど、私もXとYouTubeに歌ってみたを上げていて、それを事務所の方が見て声をかけていただきました。ただ、まだ14歳で中学3年生のときだったから、高校どうしようか、受験どこにしようか、みたいな感じで。しかも、広島に住んでいたのでもし受かって活動するとしたら東京に行かなきゃいけないとオーディションの条件に書いてあって。そして、アニメもあるということで声優面での不安もあり一度お断りしたのですが、そのあとにもう一度ご連絡いただいて。元々本当に歌が好きで、将来はアーティストとかではなく歌い手としてネット上で活動するという趣味の範囲でやりたいなと思っていたので、母とも相談して力試しのような感じで受けさせていただきました。「名もなき何もかも」と「偽りの理」が課題曲だったんですけど、高くて速くてって感じで、まあ難しくて。ボカロの曲をたくさん歌ってきて速い曲もあった中で、こんなに難しい楽曲に出会ったのは初めてで大丈夫かなって思ってたんですけど、ご縁あって合格できて、まさかこんなことになるとはという感じですね。

凪 都:私は幼い頃からピアノを習っていたんですけど、大学ではピアノを専攻しなかったのでピアノを弾く機会が減ってしまって。自分の進路を考えたときに、恐らくピアノをお仕事にすることはないだろうなって想像していたんですが、心のどこかではピアノを弾きたいなって思っていて。大学2年生のときに弾いてみたの動画を載せていたSNSのアカウントにagehaspringsからDMをいただいてお話をしました。どこかでピアノをやりたいと思っていた自分の気持ちと、お芝居をすることがすごく好きだったこともあり、楽器もやれるし声優としてお芝居にも触れられるということが、やりたいことにまとめて挑戦できるチャンスだと感じて。また、そのとき就職のことを考えていたこともあって、きっと一度社会に出たらばっさり断ち切ってやりたいことに挑戦するという選択をするのは難しいことだと考えていたので、これは自分にとって最後の大きなチャレンジで分岐点になるかもしれないと思い、すぐに受けることを決めました。

夕 莉:私は高校1年生からギターを始めたんですけど、本当にずっと趣味で弾いていて、音楽を仕事にしていきたいと思ったことは一度もなくて、純粋に楽しいから弾いてるという感じだったんですね。私もみんなと同じようにYouTubeとかXに演奏動画を上げていて、それを(agehaspringsの方が)観て声をかけてくださって。そのとき大学3年生だったので就活もしていたんですけど、音楽の道っていうのは考えてなかったので、私の演奏を観て声をかけてくれたことがすごい嬉しくて。オーディションも受けたことがなかったので、せっかく声をかけていただいたからちょっと挑戦してみようかなと思い、自分の可能性を信じて受けてみました。

──今お話をお伺いして気になったのですが、みなさんが楽器を始めようと思ったきっかけのアーティストってどなたなんでしょうか。

夕 莉:私は高校1年生で軽音楽部に入ってギターを始めたので、それまでバンドをあまり聴いてこなかったんですけど。中学生のときにどこの高校に行こうか考えていて、いろいろな高校の文化祭を見に行っていたんですが、進学先に選んだ高校の文化祭で軽音楽部の演奏を観ました。人生で初めて生のバンド演奏を聴いたんですけど、それからギターをやりたいと思い始めて。そして、一番最初にハマったバンドがSHISHAMOで、自分も弾きたいなと思いYouTubeで弾いてみたの動画とかを探して、いろいろ観ていくうちに自分でも動画を上げたいと思ったのがきっかけです。

凪 都:私の母が音楽教室の講師をしていてピアノの先生だったので、物心ついたときにはもうピアノを習っていて。母が、この道に行け、という感じで始めていたので、自分の意思ではなかったんですけど。個人レッスンとグループレッスンの両方に通っていたんですがグループレッスンのほうが楽しくて、誰かと音を合わせることに魅力を感じていたので、高校入ったときにバンドをやってみようって思いました。それで軽音楽部に入ったんですけど、自分が高校生のときは鍵盤(キーボード)のいるロックバンドがあんまりいなくて、やっと少しずつ増えてきた頃だったので、曲選びが難航したときもあって。そこで初めて演奏したのがsumikaというバンドの曲で、すごく鍵盤が特徴的だったので私もバンドのなかでピアノを弾くっていうことにやりがいを感じました。なので、私がバンドを始めるきっかけになったのはsumikaです。

理 名:私が音楽を好きになったのは、ボカロが最初で。カラオケで初めて歌ったのが「千本桜」だったと思うんですけど、それは多分小2か小3くらいのときで。そのときは歌うのが恥ずかしかったのか、母の背中に隠れて小さい声で歌っていた記憶があるので、歌に興味を持ったのもボカロが最初だったのかなと思います。母も姉もピアノをやっていて、私も小さい頃からピアノを習っていたので、音楽にはずっと触れ合ってきたんですけど・・・ボカロに出会ってからずっとボカロを聴いていて、ピアノでもボカロを弾くことが多くて。ボカロがきっかけでこの世界に足を踏み入れたのかなと思います。

美 怜:私は元々楽器には全然触れてこなかったんですが、中学3年生のときにたまたま観てたアニメのエンディングをKing Gnuが担当していらっしゃって。そのときにこの曲かっこいいな、と思っていろいろ調べたり見たりし始めたのがバンドを好きになったきっかけです。そのあと、入学した高校に軽音楽部があったので体験入部に行き、楽器を選ぶときにやっぱりドラムが一番かっこいいでしょ、というのが自分のなかに漠然とあって。そこで初めてドラムに触れて、なんだこれ楽しいぞ、と感じて入部しました。曲ごとにいろいろな人とバンドを組んだんですけど、それがもうすごい楽しくて。コロナがあり高2以降はあんまり活動できなかったんですが、その高校1年生の一年間だけでもドラムって楽しいし、ライブもめっちゃワクワクするし、バンドってかっこいいなと思って。それがドラムを仕事にしていきたいと思ったきっかけですね。なので、バンドの道を示してくれた根源はKing Gnuです。

朱 李:小学生の頃からユーフォニアムという管楽器を吹いていて、それがやりたくて中学でも吹奏楽部に入ったんですが、そのときに「響け!ユーフォニアム」というアニメがすごく流行っていて、ユーフォニアムが定員オーバーで私も弾かれてしまって。その次に希望していたコントラバスを担当したんですけど、私が通っていた中学校では、春夏はコンクールのためにコントラバスをやり、秋冬は地域のイベントに出るためにエレキベースをやっていました。そこでエレキベースを弾いていたらすごい楽しくてドハマりして、高校でも音楽の専門学校に行ってベースを弾いてました。音楽の道を目指すというのは若干考えてはいたけど、私の腕じゃ無理だよなと思っていて。高校1年生の秋ぐらいに学校の先生が、好きな曲を教えてくれたら採譜して教えてあげるよと言ってくださって。そのときにSuspended 4thの「ストラトキャスター・シーサイド」という曲を教えてもらってから、さらにベースを好きになりました。それなりに弾けるように技術も上がってきて、そこでやっと音楽の仕事をやってみたいなと思うようになって。だから、音楽の道を目指すきっかけになったのはSuspended 4thですかね。

何度も挫折しそうになったオーディションーあの経験が今も私たちの背中を押してくれる

──選考が進むにつれて、みなさんはどんなハードルを感じていたでしょうか。特にご自身の中で、あの選考のこれが難しかったな、でも私頑張ったなと振り返るエピソードなどあればお教えいただけますか。

夕 莉:私は今まで弾いてみたの動画では自分が弾ける好きな曲を選んでたので、これを弾いてくださいと課題曲を渡されて練習したのは初めてで。一番苦戦したのは「黎明を穿つ」なんですけど、ギターが本当に難しくて。課題曲を毎週提出してたんですけど、この曲は半年出し続けてやっとオッケーが出たっていうトラウマのような・・・。でもこの曲でアルペジオとかカッティングとかが結構上達したなっていうのと、あとメンタルも強くなったかなと思います。

凪 都:もらう曲全部とにかくBPM(1分間の拍数)が速くて。どうしてこんなに速いんだろうと毎回思うくらいに曲が速くて。最初の課題曲が「名もなき何もかも」だったんですけど、すごくかっこいいピアノソロがあるんですよ。 でも、めちゃくちゃ速くて難しくて全然弾けなくて。指が追いつかないって感じで、それが一番苦戦して。夕莉ちゃんが半年出したって言ってたけど私は1年出し続けて。他の課題曲に進んでいたんですけど「名もなき何もかも」のピアノソロも一緒に毎週出し続けていました。その速さに食らいついていくのがすごく大変だったんですけど、今はそれも忘れてしまうくらい力を抜いて楽しく弾けるようになったので、自分でも成長したなって思います。新しくいただく曲もやっぱり速くて心が折れてるときも、あのとき1年かけて乗り越えたっていう経験が背中を押してくれるので頑張ってよかったと思っています。

理 名:最初にもらった課題曲の「名もなき何もかも」がめちゃくちゃ難しくて。アカペラで始まるんですけど、速くて言葉の数が多くてぎゅっと詰まっていて、高くて・・・みたいな。しょっぱなからコテンパンにやられちゃって。1曲通して歌うのも息切れ息切れって感じで、家でずっと歌ってたりカラオケで練習したりしてました。今はもう何百回も歌ってだいぶ楽に歌えるようにはなったんですけど、あのときは頑張ったなってしみじみ思いますね。

美 怜:私も1曲目いただいたのが「名もなき何もかも」だったんですけど、1曲目からテンポ187でこんなにずっと連打することある?と思っちゃって。えっ、と思いながらコピーをしていて、みんなは1曲終わったら次の曲次の曲って進んでたらしいんですけど、ハードルが高すぎてもうずーっとやってたんですね。「名もなき何もかも」を通してオーディションをやってるような感じで。ずっと連打連打連打なので、曲終わったら息切れしてるし、連打もどんどんよれて崩れて、やばいって感じだったんですけど。そもそも、最初はフォームの改善から始まって、もう根本からこの曲を通して鍛え直していただいたというか、自分が成長できたなと。だから、当時と比べものにならないくらいドラムを楽に叩けるようになりました。1曲目が自分にとって本当にめちゃくちゃハードル高かったんですけど、それを乗り越えられたことに頑張ったなぁって思います。

朱 李:私は2曲あって、「気鬱、白濁す」と「黎明を穿つ」なんですけど。「気鬱、白濁す」は3曲目の課題曲で、Aメロと間奏ですごい指が動くんですね。それで、練習してたら腕を壊しちゃって。3週間ぐらい一旦お休みをして、一度オーディションに落ちてるのもあって、すごく落ち込んだんですけど。でも、腕を痛めたことで弾き方を見直すことができて、それからはあんまり腕を痛めなくなりました。

「黎明を穿つ」は4曲目で、間奏にスラップでちょっと動くところがあるんですけど、私も夕莉ちゃんと同じで半年やっていて。親指のダウンアップがめちゃめちゃ難しくて、最初は全然できなかったんですけど。 でも、この曲をずっと練習してたおかげで得意になってきたし、スラップの音もよくなってきたので、今考えるとめちゃめちゃよかったなって思います。辛かったけど、私頑張りました。

メンバー同士はじめての邂逅―第一印象と今の印象の違い

──いざオーディションの選考が終わって、メンバーが決まって、という段階があったかと思うのですが、それぞれに抱いた第一印象をお伺いできますでしょうか。また、その印象は今変化しているかというところもあわせてお伺いできるとうれしいです。音楽的でも、キャラクター的な側面でも構いません。

夕 莉:年齢しか知らない状態で会ったので、本当に緊張して怖かった。今入ってきたのは誰だ、何のパートだって(笑)。みんなで座って私の目の前になっちゃん(凪都)がいたんですけど、この子は絶対に明るい子だ、絶対陽気キャラだと思って、それは今も変わらずなんですけど。理名ちゃんは7歳も差があるので仲良くなれるか心配だったんですけど、年齢差を感じないくらい話しやすくて面白いし。今は最初会ったときよりもめちゃくちゃ話しやすくて、本当に同い年くらいの感覚で喋れてます。みーちゃん(美怜)も朱李ちゃんも初めて会ったときはワンピースを着て、しっかりしたお姉さんって思ったけど、意外と2人とも面白くてちょっと天然だし、可愛いとこが仲良くなるにつれて見えてきて、なっちゃん以外みんな第一印象からは変化してます。

凪 都:私も年齢と楽器しか知らない状態だったので。でも、間違いなく(オーディションに)合格したっていう事実はあるじゃないですか。だから凄腕で、やっぱりオーラとかあるのかなって楽しみでワクワクしてたんですけど、みんな本当に普通の女の子たちっていう感じでした。夕莉ちゃんが向かいに座ってたんですけど、みんな最初からワーッて喋るような感じじゃないし、一番年上と聞いていたのでお姉さんっぽいで終わりだったんですよ。本当は全然そんなことないんですけどね。いい意味で年上らしくないし、親しみやすくて仲良くなれてよかったなって思ってます。理名ちゃんと朱李ちゃんが私から遠くて喋ってる顔しか見れなかったので、とにかく猛者であることしか分からなくて(笑)。だから早く歌ってほしいし、早くベース弾いてほしいなって思っていて。理名ちゃんは本当にちっちゃくて可愛いし、朱李ちゃんも早く楽器のプレイを見たいなって。みーちゃんは言葉遣いがすごい綺麗で一番しっかりしてそうだなって思ったんですけど、実はド天然ガールというか。私のなかで一番印象変わったのはみーちゃんかなと思います。

理 名:みんなお姉さんだから・・・一番近くて4歳差で、一番離れて7歳差みたいな。メンバーの年齢を聞いたときに、全員大学生の年齢だよって言われて。当時、私は中学3年生だったので、学校1個分違うなみたいな感じでめちゃくちゃ怖かったんですよね。やっぱりオーディションで勝ち抜いてきた人たちだから、どんな尖った人がくるんだろうって思ってたんですけど、朱李ちゃんとかおしとやかな感じで、みんな思っていたより普通ですごい安心しました(笑)。そして、本当になっちゃんが明るいキャラっていうのはオーラに出ていて。緊張して誰も何も言わなかったのに、なっちゃんは次々話すから、このお姉さんすごいぞって思って。みんな本当に優しいお姉さんたちっていうのは今も変わらないなって思います。夕莉ちゃんは髪の毛が長いからクールな印象があったんですけど、今はゼロ距離お姉さんって感じです(笑)。

美 怜:私はみんなの印象が大きく変わったところがなくて。年齢とパートぐらいしか情報がなかったので、どんな人たちなんだろう、ちょっと怖いかなって思ってたんですけど。私も同い年が一人しかいなくて上下がちょっと離れてるから溶け込めるかな、仲良くできるかなって思ってたんですけど、最初にみんなを見たときは結構大学にいそうな(笑)、いい意味で親しみやすそうな子がいっぱいと思って。そこで少し安心しました。顔合わせのとき、事務所の建物の前でちょっと待ってたんですけど、そこに朱李ちゃんいたよね?

朱 李:いた(笑)

美 怜:その姿を見てあの子は誰だってなって、一緒のグループか分からないから声もかけれず。でも入ったら一緒で、しかも同じ年なんだと思って。そのときは人見知りしてたので、あんまりぐいぐい話しかけられなかったんですけど、親しみやすそうな印象をみんなに感じていて、実際にその通りだったなって。誰と二人きりでも気まずさとかなかったし、誰と一緒にいても楽しいし、優しいし、みんな好き。あ、でも理名ちゃんは一人だけすごい年下っていうのを聞いていたから私たちがしっかりしなきゃと思ってたんですけど、全然そんなことなくて本当に手のかからないえらい子で。理名ちゃんはいい意味で想定と違った。でも本当にみんな第一印象はいい子たちで、いいバンドメンバーに恵まれてよかったなと思ってます。

朱 李:私は最初にメンバーの年齢やパートを聞いたとき、一番下が15歳っていうのにすごいびっくりして。4つも違う、怖いって思って。吹奏楽部で後輩からいつも舐められてたから、ほんとに大丈夫かなっていう(笑)。最初めちゃめちゃ怖かったんですけど、顔合わせの帰りに理名ちゃんと一緒に喋って、すごい優しいし可愛いし「なんだこの天使は」っていう感じで。初めからもうすごい大人っぽい印象がついてましたね。みーちゃんは顔合わせのときに事務所の外で見て、すごい綺麗なお姉さんがいるって思って。大人しそうだし、年上かなって思ったんですけど同い年って聞いて、「同い年ってこんな大人?」ってドキッとして。でも、練習とかで一緒にいるとふわふわしていて癒やされるし、最初とは一番印象が変わりました。年長のお二方は、席が離れてたから全然喋れなかったけど、なんかすごい明るそうだなって。なっちゃんとかすんごい喋るし(笑)。

凪 都:ちょっと異議あるんだけど!(笑)なんかおしゃべりみたいになってるけど違うからね!

朱 李:(笑)。顔合わせの日に玉井さんもいらっしゃったんですけど、玉井さんの前でもすごい喋るからこの子強いなって思って。

凪 都:ねえちょっと待って!(笑)違い、、違いますよ!

──でもそういう方の存在はグループで本当に重要ですからね(笑)。

朱 李:困ったら頼りになりそうでよかったなと思ったのが第一印象でした。今も第一印象からはあまり変わってません。

凪 都:よかった(笑)

朱 李:夕莉ちゃんもすごい綺麗なお姉さんだけど、ちょっと陽気な感じが出てて(笑)。新しい環境に入ったときに人と仲良くなるまで半年とか1年とかかかるんですけど、夕莉ちゃんやなっちゃんが結構距離が近くてすごいこじ開けてくるので(笑)。

凪 都・夕 莉:(ドアを叩く動作をしながら)ガンガンガンガン!!ドン!!ってね(笑)

朱 李:はい(笑)、気付いたらすぐ仲良くなれて、二人には本当に助けられました…!

メンバーが他メンバーを推す:「それぞれの個性」

──続いて、メンバーのみなさんそれぞれの特徴についてお伺いしたいのですが、自分以外のメンバーを一人ご指名いただき、そのメンバーの注目ポイントを語っていただけますでしょうか。

夕 莉:これはね、さっき待っているときにみんなで決めたからね、誰を言うか。私はなっちゃん。演奏してるときのなっちゃんの注目ポイントは笑顔ですね。みんな演奏中はスマイルって感じじゃなくて、目が合ったらニコッみたいな感じだけど、なっちゃんはめっちゃ笑顔。(担当楽器が)上物なので二人で合わせるところが結構あって、そういうときは振り返って目を合わせて弾いたりするんですけど、めちゃくちゃ笑顔で見てくるんです。ライブとか来たら前のほうにいる人は結構私たちの顔見えると思うんで、なっちゃんの笑顔に注目してください。見たらハッピーになれると思います。

魅力はやっぱりみんな言ってるけど明るさですね。バンドのなかでも賑やか担当だから、なっちゃんいないと結構静かになっちゃう。なっちゃんが具合い悪くて声出ないときとかめっちゃ静かだったし(笑)。ムードメーカー的存在としてトゲナシトゲアリを盛り上げてくれてます。

凪 都:私はみーちゃんについて。さっきも天然みたいな話をしたんですけど、普段は結構ポワンとしてて一見何を考えてるのか分かんなかったりとか、突然爆弾発言があったりとかっていうところからはもう全く想像できない、パワフルなドラムプレイが好きで。細かい連符とかに音圧とか音価の差が全くなくて、一音一音がめちゃくちゃ安定していて。やっぱりドラマーにとってその安定感ってすごく求められるポイントだと思うし、この子がここにいれば大丈夫だっていう自分の支えみたいなものにもなってるし。ドラムって叩くものが多いじゃないですか。どれを叩いてても一番いい音を鳴らすことができるっていうのも、今までの努力をすごく感じられるので。私は来世ドラマーになりたいんですけど、こんなふうにドラムが叩けたらいいなっていうのは演奏中に思ってます。

人間力みたいなところだと、周りへの気遣いがすごいよくできて、誰かがちょっと具合悪そうだとすぐ気付いて声かけたりとか、周りを見て支える力がすごくある。きっとみんな普段から言わないけど、みーちゃんのちょっとした気遣いとか態度とか言葉に救われてる部分はたくさんあるんだろうなって思います。なので、音楽面でもそうだし、普段の活動面でも支柱になる子です。

理 名:私は夕莉ちゃんなんですけど、やっぱり演奏面ですね。シンプルに上手い。あと、夕莉ちゃんは大体いつも髪の毛を下ろしていて、サラサラヘアが演奏中になびいてめっちゃ綺麗って思いますね。これはもう注目ポイントなので、見たかったらライブに来てください(笑)。そして、個人的に好きなのが夕莉ちゃんのリズムの取り方です。演奏中に足でリズムを取ってるんですけど、たまに足を曲げるときがあってすごい好き。

夕莉ちゃんは一番年が離れてるというのもあって、甘やかし担当で。お出かけしたときとか、行きたいとこある?みたいな。こっち行ここっち行こって、めちゃくちゃ撫で回すように言葉をかけてくれるのがすごい好きですね(笑)。

美 怜:私は朱李ちゃんのことを話します。朱李ちゃんはドラムとベースでリズム隊なんですけど。演奏中に目を合わせたりとか顔を見たりすることが結構多くて、キメとか合わせるところで頷く感じで見てくれるんですよ。そこが一緒に演奏していてすごく好きなポイントです。でも、これって一緒に演奏してないと見られないじゃないですか。だから私のちょっとした秘密で(笑)。自分だけが得してることなんですけど、それをみんなにも感じてほしいと思ってしまう。

──でもそのときは後ろ向いてますもんね。

美 怜:だから私しか見られないんですけど、そこがめちゃめちゃいいな!ってところですね。

あと、やっぱりトゲナシトゲアリの曲は各パートそうなんですけど、ベースもめっちゃ難しいので、スラップとか手癖みたいなフレーズだったりとか難しいところがいっぱいあるよね。

朱 李:うんうん、あるね。

美 怜:練習中に(朱李ちゃん)苦戦してそうだなって思うときがあるんですけど、そうやって苦労した後に合わせると変わったって思うことが多くて。本人もやりやすそうに見えるし、一緒に演奏していて前よりかっこよくなってるなって思うことが結構あるので、努力しているのを感じられて、すごい子だなって思います。そこが一緒にやっててよかったなって思うポイントです。

最初は人見知りする子かなって思ってたんですけど、仲良くなって打ち解けると、めっちゃはっちゃけるんですよ。写真とか動画を撮ると面白いし、そのギャップがめっちゃ好きです(笑)

朱 李:私は理名ちゃんのことについてなんですけど、ライブで歌ってるときに歌詞に合わせて動くというか、「爆ぜて咲く」のサビに出てくる『君には~』のところでお客さんに爆レスしてるのがすごい好きで、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいところです。あと、みーちゃんと同じでこれはステージにいる人しか味わえないんですけど、歌ってるときの横顔がすごい堂々としていて、15歳とは思えない表情でめちゃめちゃかっこよくて。でも、そんなにかっこいい顔を見たあとに目が合ったときとか、すごい可愛い顔で笑いかけてくれて、そこのギャップがいいですね。私しか味わえないけど注目してほしいなっていうポイントです。

すごいかっこいいし大人っぽいんですけど、普段は結構甘えん坊なんです。ご飯食べたあとすぐ眠くなっちゃったりとか(笑)。すごい可愛くて、あ、最年少・末っ子だなっていうのを感じます。

agehaspringsプロデューサー・玉井健二によるメンバー総評

──実は本取材前にトゲナシトゲアリのプロデュースを務めるagehaspringsの玉井健二さんに別途インタビューを実施しておりまして、そこで「メンバーのここに注目してほしい」というところをお伺いしました。非常に熱量高く語っていただいて、大変気持ちの込もったコメントを頂戴したので、ぜひみなさんにここでご共有させていただいて、ご感想をお伺いできればと思います。

──まずは、美怜さん。
「美怜はドラマ―としてキャリアの面ではまだまだ発展途上ながら、超高速の8ビートからアフターなジャズ、R&Bまであらゆるジャンルに対応し得る根源的で上質なグルーヴ感を、発掘した時点で既に備えていた。専門的すぎて説明しづらいが、つまり我々がプロのドラマーという人種に最終的に問う利点を彼女は今もう持っている、という事です。そして見積もった通りに、この数年でショットの強度と精度の面でも各段に高めてくれています。既存の女性メジャーバンドの中でトップクラス、見た目に反したエモーショナルなプレイスタイルもドラマーとしての大きな武器。アリーナやスタジアムなどのライヴ会場を視野にいれたとき、必須で要求される能力でもあり、その点に於いても美怜は極めて貴重な才能を備えている。」
美 怜:嬉しいと同時に、「そんな恐れ多い…」という感想を抱いてしまったんですが(笑)。貴重な才能と言っていただいてますけど、それを私に見出だしてくださったことが、もう本当にすごく嬉しくて。個人的にはそんな大層なものはって思うんですけど、こうやって言っていただけると自信に繋がるというか、そう言っていただいてるんだったらできないはずない。もう頑張っていくしかないっていうふうに思いましたね。キャリアの面ではまだまだ発展途上だっておっしゃっている通り、私もまだ本当に未熟なところだらけだと思ってるので、(玉井さんが)感じてくださっていることが間違いじゃなかったと思っていただけるように、頑張ろうってすごく気合いが入りました。

──続いて朱李さん。
「フレット上を抉る俊敏性とリズムを確実にキープし続ける正確性を兼ね備えた、極めて稀有な才能を持っている。そもそも持っているベースがヘッドレスと5弦という、拗らせレベルの音楽愛をもひしひしと感じさせてくれました。我々はベーシストの良し悪しを測るうえで“フレーズの切れ目”にも着目するのですが、大抵のベーシストはここが疎かで、曖昧に端折って次のフレーズへと意識が向かってしまいますが、朱李はこの点に於いても、早い段階で我々を唸らせるフレーズ管理能力の高さを感じさせてくれました。ここも、永くプロで活動するなかではじめて身に付ける能力であり、5弦のベースをブン廻すように超高難度のフレーズを支配する末恐ろしい少女を目撃した日の感動を、我々はいつまでも忘れないと思います。」
朱 李:ひとつひとつに対してこんなんじゃダメだって思いやすいタイプなので、短所だと思っていたネガティブな性格を逆にこう言ってもらえるのは嬉しいです。5弦は最近のアニソンだったり楽曲だったりが5弦を使うことが多いので買っただけという(笑)。ヘッドレスはバッカスの冬桜を使ってるんですけど、ディバイザーの桜シリーズがすごく好きで、たまたま見つけたのがヘッドレスでした。大した理由がなくて本当にすみません…(笑)

──じゃあ、凪都さん。
「凪都は、ピアノ、キーボード等の鍵盤演奏に於けるリズムの正確性とタッチの精度の高さの面で、いま既にアーティストのサポートメンバーを担えるレベルに達しています。そもそも素養と呼ぶ以上の、相当なレベルの才能が無ければ、トゲナシトゲアリの楽曲のBPMには到底対応できません。ピアノというある意味最もアカデミックな楽器で、光速のリフやソロを多用するトゲトゲの特徴あるアレンジは、凪都の類稀なる演奏力無しでは考えられませんでした。世の中にピアノを譜面通りになぞれる人は山のように存在しますが、彼女のように激しく高速に、そして正確なリズムで確かな音色を奏で続けることができる鍵盤奏者は、この国に於いてほんの一握りしか存在しません。オーディションの段階でも、有段者が相当な年数を重ねてクリアするレベルの難問をいくつも設定させてもらいましたが、そのすべてをほんの数か月でクリアしてくれるような、途方もない努力をも厭わない情熱も兼ね備えた、きわめて尊い人でもあります。」
凪 都:すごく嬉しいですし、自分が意識していたポイントを見ていただけているんだなというのをすごく感じました。さっきオーディションでテンポの速さが自分のなかでハードルだったという話をしたんですけど、そこに対応できてるところとか。全然できてないなというマイナスな気持ちがあっても、ライブで人前に出るときや映像で見てもらうときは、そういう気持ちは取っ払って笑顔とか楽しそうにっていうのを心がけていたので、褒めていただけてすごく嬉しいです。やっぱりそういうふうに期待してくださったり、ある意味賭けてくださったりしている部分には応えていきたいですし、自分の好きな楽器とか長くやってきたものをその道のプロの方に技術的なところも含めて細かくお言葉をいただける機会というのは本当に少ないと思うので、この言葉を胸に精進したいと思います。

──夕莉さん。
「夕莉は、数多いる女性ギタリストの中で、我々が最も“音楽的だ”と評価したギタリストです。オーディション最終段階のギタリスト候補の皆さんには“エレキを歪ませないで弾いてみせてください”とお願いしました。ゴマカシが一切効かない極めて厳しい状況の中で、素養の質を測らせてもらった結果、選ばれたのが夕莉でした。バッキング、ストローク、カッティング、アルペジオ、単音のソロパート、すべてのギタープレイの精度に於いて、音楽的に未知の領域への対応力も含めた総合的な面でも、近い将来トッププロに成り得る才能を感じさせてくれた唯ひとりのギタリストでもありました。加えて、夕莉に感じるのは、自分のプレイのみならず、バンド全体のアンサンブルを聴き分けられる俯瞰の耳を持っている点もまた、決め手となったもうひとつの才能です。ドラム、ベース、鍵盤、オーケストレーション、そしてボーカル。そのすべての音の渦のなか、自分が奏でるギター、という俯瞰の視野が明らかに感じられるプレイをいつも披露してくれています。これはギター演奏のみならず総合的な“音楽家としての才能”でもあります。」
夕 莉:嬉しいです。顔合わせのときに一人ずついろいろ話をしたときにも、夕莉はすごく耳がいいねって褒めてくれて。元々音楽をやってたわけでもなかったので、音楽的なことは全然分からないことばっかりで。弾いてみたの動画もずっと耳コピでやってたので、何回も耳がいいねって褒めてもらえてすごい自信になったというか、自分の長所なのかなって思えました。リハーサルで会っても、全然ダメ出しとかはなくて、毎回すごい褒めてくださるんですよ。だから、会うたびにこんな人に選んでもらえたんだから、この人のために頑張ろうって思えるし、このコメントも読んですごく嬉しくて。玉井さんがこの子選んでよかったなって思ってもらえるように、もっともっと頑張りたいと思いました。

──最後に、理名さん。
「理名は、僕の音楽遍歴の中でも1,2を争う才能を感じたボーカリストです。当初は年齢的にもまだ能力の開花度で言うと10%にも満たない段階でしたが、この声と耳を発掘するまでに結果1万人以上のボーカル資料と向き合いました。まず高音域に於いてワールドクラスの魅力があること、且つ、あらゆる楽曲の中で埋没しない唄声の“芯”を持っていること、その上で、その唄声から意志の強さを感じれること。この辺りを判断基準としていましたが、そのすべての要素を満たしていながら、発見当初まだ14歳という想定外の“特徴”をも持ち合わせていました。さすがに若すぎるのでは?という懸念も当初ありましたが、良い意味で年齢を忘れさせてくれるくらい、しっかりと着実に活動しながら日々成長してくれています。力強い声、というのは毎日のように耳にすることができますが、柔らかく、強く刺す声、というのは世界中のミュージック・シーンに於いてもめったに聴くことができません。その面でも、理名は素晴らしい素養を持っています。“あ、あの人だ”と聴いた瞬間に認識できる“個”を感じられる、そういった存在になる可能性を間違いなく秘めている、極めて稀有な逸材です。」
理 名:嬉しすぎて震えました。声をかけていただいたときはネットに歌を上げ始めてからまだ3、4ヶ月ぐらいで。そのときは自分が気持ちよく歌いたいからカラオケとかで歌う程度の活動で、誰かのために歌うという感じではなくて。それから(オーディションに)合格して、実際にライブで目の前にいる人に向けて歌うようになってから、自分にとって歌の存在が結構変わってきて。当時まだ14歳で、このガールズバンドクライのプロジェクトの情報が出たときも15歳っていうことに驚かれている方が多くて。15歳なのにって褒めてくれるのはすごく嬉しくて、有り難いことだし、モチベーションもすごい上がるんですけど、そのなかで自分がずっと思ってるのは、この14歳、15歳、16歳っていう年齢に頼りすぎたくないなということです。年齢に関係なく一人のボーカリストとして見てもらえるようになりたいなとすごく思っています。

メンバーそれぞれが語り合う「トゲトゲの推し曲」と「推しのポイント」

──ここからは、少しお話を変えて、みなさんがこれまでトゲナシトゲアリがリリースした楽曲の中で特に好きな楽曲とその理由をお伺いできますでしょうか。

夕 莉:私は「爆ぜて咲く」ですね。これはYouTubeで再生回数が一番多い曲で、この曲が好きな理由は爽やかで明るいけど歌詞を聴いたら胸がうってなる曲だし、みんなで演奏していて一番楽しいのが「爆ぜて咲く」で。みんなでアイコンタクトを取ったりとか、ギターソロで理名ちゃんと絡んだりとか、演奏していて自分たちもすごい楽しいし、お客さんたちも楽しんでくれてるのがすごく伝わってくる曲なので、私は「爆ぜて咲く」が一番好きです。

凪 都:2曲あるんですけど、どちらも視点が違う感じでいきます。1曲目は「気鬱、白濁す」なんですけど、これはオーディションで曲をいただいたときに、あーこれ好き、と本能が騒いだくらい好きな曲で、もう毎秒いいんですよ。最初から最後まで曲の展開も歌詞も、それぞれの楽器のフレーズとかも、本当に全部が私の好みに刺さりまくりの曲でした。そして、みんなでバンド練習を始めてまず苦戦した曲というか、初めて壁にぶつかった曲でもあって、それを乗り越えるのがすごい大変で。オーディション中に好きになったけど、みんなで音を合わせたときにさらに好きになることができた曲です。

凪 都:もう1曲は「極私的極彩色アンサー」なんですけど。これは理名ちゃんの歌声が本当に好きで。「気鬱、白濁す」をオーディションで好きになったときは仮歌の方だったので理名ちゃんの歌声ではなかったんですけど、「極私的極彩色アンサー」は理名ちゃんが歌ったものを最初に聴いて、理名ちゃんの伸びやかで力強い歌声がすごくマッチしていてめちゃくちゃかっこよくて。楽器もそれぞれみんなすごく難しくて、一回全員初心者に戻ったみたいに棒立ちになるくらい大変だったんですけど。やっぱりみんなここまで一緒に練習してきたこともあって、そこから助け合って形になるのもすごく早かったです。バンド練習が始まったばかりの頃は、まだ理名ちゃんが合流したりしなかったりだったので、理名ちゃんと練習しないときもあったんですけど、「極私的極彩色アンサー」の練習ではほとんど毎回理名ちゃんが歌ってたので、それぞれ難しいけど大好きな理名ちゃんの歌声でみんな頑張ってるというのも含めて大好きな曲です。

理 名:私も「極私的極彩色アンサー」がすっごい好きで、初めて聴いたときにかっこよすぎて困惑しちゃって。楽器の知識は本当に全くなくて、どこまでいけば難しくて、どこからが簡単なのかみたいなのが分からない状態でも、聴いたときこれはちょっとやばい曲だなって思うぐらい難しそうだというのが印象にあって。それと同時に、難しさを超えるぐらいすごいかっこよくて、あとは歌も大好きです。この曲は比較的歌いやすくて歌っていてすごい楽しいです。

あとは「爆ぜて咲く」も好きです。トゲトゲファミリーもみんな好きな曲だと思うんですけど。ボカロの楽曲って結構ストーリーがはっきり歌詞に出てることが多くて、「爆ぜて咲く」も感情の変化だったり、最初は『ため息押し殺し笑う』だったのが最後は『心隠さずに笑う』と歌詞にストーリーが出ている曲だなと思っていて。やっぱり私がボカロに惹かれたのと同じように歌詞にストーリーが出てる曲が特に好きなのかなって思っています。トゲトゲの中では明るめな曲だというのもあって、「爆ぜて咲く」を歌ってる時が一番笑っているかなと思います。楽しい!

美 怜:好きな曲は「気鬱、白濁す」で、初めて聴いた時に「あ、めっちゃ好きなやつだ」と思って。特にサビの入りからぐわって引き込まれてしまって、サビで一瞬楽器が静まった時に入ってくるボーカルのメロディーとか、その後のギターのフレーズとか、すごい心に残る感じがあって。めちゃめちゃ好みの曲だなあって感じました。もう一曲は「極私的極彩色アンサー」です。これは最初に聴いた時に「みんな技術で殴り合いしているんじゃないか」って感じのフレーズで(笑)。ギターがすごいフレーズ弾いたかと思えば、キーボードもすごかったりして、ベースもベンベンベンベンって弾いてるし、とか。そんな雰囲気なのに一曲にちゃんとまとまっていて、トゲトゲの曲の中で一番短いんですけど満足感がその時間と合ってないという(笑)。そのミスマッチさも面白いなと思ってます。なので、アンサーもすごい好きな曲です。

朱 李:演奏していて楽しい曲は「名もなき何もかも」と「爆ぜて咲く」です。「名もなき何もかも」はイントロと間奏で頭を振りながら演奏するところがあるんですけど、そこがすごい楽しくて。間奏では夕莉ちゃんと目が合って「今からあのパートだね」みたいな感じでアイコンタクトを取れたりするのがすごく楽しいです。「爆ぜて咲く」はお客さんがすごく盛り上がってくれる曲で、手拍子してくれたり、(サビの)『爆ぜて咲いた』で一緒に動いてくれたり、全体で楽しくなれて好きな曲です。あと「極私的極彩色アンサー」は弾いていてやっと楽しくなってきた曲で、最初はすごいかっこいいけど弾きたくないなって思ってたんですけど(笑)。練習していてみんな上達してるのが分かるし、自分もモチベーションが上がる曲だなって。切磋琢磨しているうちに楽器が楽しいって思える曲だなって気づいて、すごく好きです。

──ちなみに「極私的極彩色アンサー」は直近の楽曲ですけど、「弾いてて楽しい」って思えたというのは割と最近になって得られた感覚なんでしょうか。

朱 李:弾くのが楽しいってなったのは最近かもしれないですね。そうなるまでは手首を痛めてる人もいたし、夕莉ちゃんは最後の難しいパートとか無理って言ってたし(笑)。

夕 莉:アイコンタクトもできないし、動けないしね(笑)。みんな棒立ちで弾いてたし(笑)。やっと最近楽しくなったよね。

──最後に、バンドとして形作られていくのはこれから、だと思いますが、将来みなさんはどんなバンドになっていきたいでしょうか。トゲナシトゲアリのみなさんが描く未来図についてお伺いできるとうれしいです。

凪 都:国を問わずに、ガールズバンドと言えばといった時に名前が上がるような存在になりたいなと思っています。楽器を始めるきっかけだったり、海外のファンの方が日本に行ってみようって思うきっかけのアニメとか楽曲だったりとか。聴いてくださった方や出会ってくださった方の人生を変えてしまうような影響力を持つバンドになっていきたいなって思っています。

理 名:私たちが憧れてきたバンドと同じような存在になりたいっていうのはもちろんあって。

みんなにとってもだと思うんですけど、このトゲナシトゲアリで人生が変わったなとすごく感じていて。自分の話になってしまうんですが、オーディションの話を聞く前に高校選びで迷っていて、勉強が嫌いだったので大学にも行きたくなかったんです。そんな時にトゲナシトゲアリに出会ってもっと音楽が好きになったし、歌も好きになって。人に向けて何かをするとか、人に幸せを届けるために音楽をするとは最近まで想像もしていなかったけど、、自分の人生も変わったから、聴いてくれる人の人生を変えたい!

みんなの何かのきっかけに少しでもなれたらいいなって。みんなを元気づけたり。トゲナシトゲアリの曲はちょっと暗い歌詞もあったりするんですけど、音楽って記憶と隣り合わせというか、その人その人によって音楽には記憶が紐づいていると思っていて。懐かしい曲を聴いた時に、あの時こういうことがあったなとか、こういう人と一緒にいたなとか、そういうのがあると思うんです。誰かのそういうバンド・楽曲になれたらなと思います。

あとがき

どの質問にも実直に答えてくださったトゲナシトゲアリのみなさん。言葉を選びながら、とても明るく、真摯かつ真っ直ぐに答えてくださる様子が特に印象的でした。序盤こそ緊張感が漂っていたものの、夕莉さんや凪都さんを中心にメンバー同士をいじり合いながらお話をしていただくうちにだんだんと打ち解けた空気感になり、和気藹々とした雰囲気のなかでインタビューが進行しました。メンバー全員がオーディションの高いハードルを乗り越えてグループを組んでいるが故に、すでに固い結束力で結ばれている5人なんだなと感じることができました。

すでに多方面で話題を集めるトゲナシトゲアリの今後がより一層楽しみになるような、ワクワクするお話をたくさんお聞かせいただきました。まだ「トゲナシトゲアリ」の音楽に触れたことがないという方は、ぜひこの機会に彼女たちの鍛錬されたスキルを堪能してみてはいかがでしょうか。
<アニメ「ガールズバンドクライ」公式リンク>
公式HP:https://girls-band-cry.com/
公式YouTube:https://www.youtube.com/@girlsbandcry
公式X:https://twitter.com/girlsbandcry
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@girlsbandcry
公式Instagram:https://www.instagram.com/toge0toge1/

<トゲナシトゲアリ公式ウェブサイト・SNS>

公式ウェブサイト:https://www.universal-music.co.jp/togenashitogeari/
Vo. 理名(井芹仁菜役):@rina_togetoge
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Gt. 夕莉(河原木桃香役):@yuri_togetoge
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Dr. 美怜(安和すばる役):@mirei_togetoge
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Key. 凪都(海老塚智役):@natsu_togetoge
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Ba. 朱李(ルパ役):@shuri_togetoge
https://twitter.com/shuri_togetoge
https://instagram.com/shuri_togetoge

■番組情報
ガールズバンドクライ
2024年4月、TOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BS11にて放送開始

<スタッフ>
原作・企画・製作:東映アニメーション
シリーズ構成:花田十輝
音楽プロデューサー:玉井健二(agehasprings)
劇伴音楽:田中ユウスケ(agehasprings)
キャラクターデザイン:手島nari
CGディレクター:鄭載薫
シリーズディレクター:酒井和男

■配信情報
auスマートパスプレミアムミュージックほか各種音楽配信ストリーミングサービスにて全10曲好評配信中
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