【話題】スタジオジブリ初のトリビュートアルバム「ジブリをうたう」

日本のみならず世界中から愛されるスタジオジブリ作品。観る者の心を揺さぶるストーリー展開もさることながら、作品に彩を添える美しく耳残りのよい音楽も魅力のひとつ。天空の城ラピュタの「君をのせて」・となりのトトロの「さんぽ」・耳をすませばの「カントリー・ロード」など、名曲を挙げればキリがありません。そんなジブリの名曲の数々を12組の豪華アーティストが独自の解釈でカバーしたトリビュートアルバム「ジブリをうたう」がこのほど発売されました。本記事では、「ジブリをうたう」の魅力に迫るとともに、収録曲と各アーティストなど本作の詳細についてご紹介します。誰しも一度は耳にしたことがある名曲を人気アーティストがどんなふうに料理しているのか、ぜひチェックしてみてくださいね。

スタジオジブリ初のトリビュートアルバム「ジブリをうたう」とは

スタジオジブリ トリビュートアルバム「ジブリをうたう」は、数あるジブリ作品のなかから厳選した楽曲を、日本の音楽シーンの最前線で輝く12組の豪華アーティストによるカバーを収録した作品。改めて原曲のすばらしさに触れられることはもちろん、原曲にはない新たな魅力に触れられるのが本作の魅力のひとつです。プロデューサーは、映画「コクリコ坂から」「アーヤと魔女」で音楽を担当した武部聡志氏。スタジオジブリのあの有名曲が新たな切り口で楽しめる非常に贅沢な一枚に仕上がっています。

<概要>
スタジオジブリ トリビュートアルバム「ジブリをうたう」
2023年11月1日(水)発売
■通常版
VICL-65894 / ¥3,400(税込)
■ジブリ関連ショップ限定版
NCS-10284 / ¥3,400(税込)
※どんぐり共和国などジブリの関連ショップのみで取り扱い
※収録楽曲は通常版と同じ

<収録曲>
1. となりのトトロ / 岸田繁(くるり)
 (映画「となりのトトロ」より)
2. カントリー・ロード / 松下洸平
 (映画「耳をすませば」より)
3. いのちの名前 / 幾田りら
 (映画「千と千尋の神隠し」より)
4. 君をのせて / 家入レオ
 (映画「天空の城ラピュタ」より)
5. テルーの唄 / Little Glee Monster
 (映画「ゲド戦記」より)
6. 人生のメリーゴーランド / 角野隼斗
 (映画「ハウルの動く城」より)
7. 風の谷のナウシカ / 玉井詩織(ももいろクローバーZ)
 (映画「風の谷のナウシカ」より)
8. ルージュの伝言 / 木村カエラ
 (映画「魔女の宅急便」より)
9. ひとりぼっちはやめた / 満島ひかり
 (映画「ホーホケキョ となりの山田くん」より)
10. 海になれたら / GReeeeN
 (映画「海がきこえる」より)
11. もののけ姫 / Wakana
 (映画「もののけ姫」より)
12. 時には昔の話を / 渋谷龍太(SUPER BEAVER)
 (映画「紅の豚」より)
13. epilogue
 さよならの夏~コクリコ坂から~ / 武部聡志

 (映画「コクリコ坂から」より)

ジブリの名曲を総勢12組の超人気アーティストがカバー

ここからは、「ジブリをうたう」に収録曲を全曲ご紹介していきます。本作をきっかけに新たなアーティストに出会ったり、アーティストの新たな魅力に触れたり、さまざまな新しい発見が詰まった作品ですので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。

岸田繁(くるり)- となりのトトロ(映画「となりのトトロ」より)
「となりのトトロ」をカバーしたのは、自身のバンド「くるり」の活動のみならず、劇伴音楽・交響曲・電子音楽の制作に、アーティストの楽曲プロデュース業など、多岐に渡って活動する岸田繁。同曲は1988年4月に公開されたジブリ映画「となりのトトロ」のエンディングテーマで、童謡やアニソンの定番としてもお馴染みの楽曲。岸田は今回のカバーについて、「子供の頃から割と親しみ深い歌なので、楽しんで歌うことができた」と語ったほか、武部聡志とのレコーディングについては、「かなり緊張したが刺激をいただくこともたくさんできた」と、楽曲への思い入れの強さやカバー楽曲の完成度の高さを窺わせるコメントを発表しています。

松下洸平 - カントリー・ロード(映画「耳をすませば」より)
松下洸平は、シンガーソングライターとして2008年にデビュー。翌年には俳優活動も始め、NHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」で人気を博しました。2023年7月には3枚目のシングル「ノンフィクション」をリリースし、自身最大規模の全国ツアーが2024年1月に控えるなど、アーティストとしても頭角を現し始めています今回のトリビュートでは、映画「耳をすませば」の主題歌「カントリー・ロード」をカバー。彼ならではのアレンジも光り、インタビューでは「ゴスペルっぽい、ソウルフルなアレンジに武部さんがしてくださった」と語っています。

幾田りら - いのちの名前(映画「千と千尋の神隠し」より)
「いのちの名前」は、2001年に公開された映画「千と千尋の神隠し」のテーマソング。作詞を覚和歌子・作曲/編曲を久石譲が務めた印象的な一曲ですが、今回本曲をカバーしたのは、音楽ユニット「YOASOBI」のボーカルで、シンガーソングライターとしても活躍する幾田りら。令和で最もチャートを賑わす最重要アーティストの一人と言える彼女の伸びやかで美しい歌声が印象的なカバーで、「楽曲の持つ素晴らしい音色と私の歌声がマッチした形で寄り添えたんじゃないかなと思ってます」と本人が語るのも納得の素晴らしい仕上がりに。

家入レオ - 君をのせて(映画「天空の城ラピュタ」より)
「天空の城ラピュタ」は、1986年に公開されたスタジオジブリ初のアニメーション映画。主題歌の「君をのせて」をカバーしたのは、福岡出身のシンガーソングライター・家入レオ。2012年に「サブリナ」でデビューを果たし、その年の日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得。その後も「Shine」「Silly」「君がくれた夏」「未完成」「空と青」など数々のヒット曲を生み出してきた人気アーティストです。彼女はレコーディングについて、「暗くなりすぎないよう、いろんな逆境に立たされようとも前を向く主人公の気持ちで歌ってみた」とコメント。力強さと切なさを兼ね備えた歌声に注目です。

Little Glee Monster - テルーの唄(映画「ゲド戦記」より)
Little Glee Monster (通称リトグリ)は、「研ぎ澄ました歌声で人々の心に爪痕を残す」をテーマに活動する女性ボーカルグループ。透き通るようなハーモニーと力強い歌声を武器に、「好きだ。」「だから、ひとりじゃない」「世界はあなたに笑いかけている」などポジティブなメッセージの詰まった楽曲を次々にヒットさせ、NHK紅白歌合戦に4年連続で出場するなど目覚ましい活躍を続けています。今回彼女たちがカバーした「テルーの唄」は、宮崎吾朗監督の映画「ゲド戦記」の劇中挿入歌で、切ないメロディー・歌詞で人気を博した一曲。彼女たちの持ち味であるアカペラ要素を用いたアレンジが印象的な “らしさ” の光るカバーです。

角野隼斗 - 人生のメリーゴーランド(映画「ハウルの動く城」より)
2004年11月公開のスタジオジブリの名作「ハウルの動く城」のテーマソング「人生のメリーゴーランド」のカバーを手がけたのは、新時代のピアニストとして注目されている角野隼斗。彼のYouTubeチャンネル「かてぃん」の登録者数は124万人を超え、総再生回数は1億回を突破。今回の企画では、そのYouTubeチャンネルで3年ほど前に録音したものをリテイク。鍵盤ハーモニカとグランドピアノの二重奏で楽曲に新たな息吹を吹き込んでいます。
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玉井詩織(ももいろクローバーZ)- 風の谷のナウシカ(映画「風の谷のナウシカ」より)
「風の谷のナウシカ」をカバーしたのは、人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のメンバー玉井詩織。ソロアーティストとしても活動する彼女は、音楽番組のMCを務めたり、自身が座長を務めるミュージカル公演も成功させたりと、近年幅広い分野で非凡な才能を発揮しています。今回カバーした「風の谷のナウシカ」は、女優・安田成美のデビュー曲で、同名の映画のテーマソングに起用された楽曲。「曲が持つ世界観を大事に歌った」と語る彼女の渾身のカバーは、アイドルらしいアレンジのなかに凛々しい歌声が光る一曲。

木村カエラ - ルージュの伝言(映画「魔女の宅急便」より)
「魔女の宅急便」は、1989年に公開された宮崎駿監督のジブリ映画。オープニングテーマにはユーミンこと荒井由実(松任谷由実)の「ルージュの伝言」が起用されました。今回本曲をカバーしたのは、歌手・木村カエラ。2004年に「Level 42」でメジャーデビューすると、「リルラ リルハ」や「Butterfly」が爆発的なヒットを記録。その名を日本中に轟かせました。「昔から大好きだった曲」「この曲が歌えてうれしかった」と喜びを語る彼女のカバーは、思わず踊り出したくなるような、心が踊る飛び切りポップな一曲。

満島ひかり - ひとりぼっちはやめた(映画「ホーホケキョ となりの山田くん」より)
「ホーホケキョ となりの山田くん」は、スタジオジブリの名匠・高畑勲監督が手がけた4コマ漫画原作のオリジナルストーリー。主題歌「ひとりぼっちはやめた」を務めたのは、シンガーソングライターの矢野顕子。今回のトリビュートで本曲をカバーしたのは、女優・満島ひかり。「ジブリは童歌や童謡のような存在」で「矢野顕子さんの『ひとりぼっちはやめた』のやさしい自由さが大好きで、無茶を承知でこの曲を歌いたいと思いました」と精一杯の愛を込めたというカバーは、さまざまな楽器を用いたアレンジと、吐息まで聞こえるような声色豊かな歌声が魅力的な一曲です。

GReeeeN - 海になれたら(映画「海がきこえる」より)
「海がきこえる」は、1993年に放映されたスタジオジブリ初のテレビアニメ作品。スタジオジブリ制作の長編作品の中では唯一、劇場用ではなくテレビ向けに制作されたという作品です。主題歌「海がきこえる」のカバーを担当したGReeeeNのメンバー・HIDEは、同作の舞台となった中学・高校を高知で過ごしたこともあり思い出深い作品なのだとか。「この曲を聴いてピンと来た方は相当なジブリ好き」「小さい頃から触れてきた沢山のジブリ作品は、全てがインスパイアの源でGReeeeNの半分はジブリで出来ていると言っても過言ではありません!」と語るGReeeeNによる珠玉のカバーをぜひお楽しみください。

Wakana - もののけ姫(映画「もののけ姫」より)
スタジオジブリが1997年に公開した宮崎駿監督のジブリ映画「もののけ姫」。本作は1997年の公開後、日本の歴代興行収入記録を塗り替える大ヒットを記録した作品。主題歌は歌手・米良美一が務め、高い声域を駆使するカウンターテナーが大きな話題に。同曲を今回カバーしたのは、女性ボーカルユニット「Kalafina(カラフィナ)」の元メンバー・Wakana。「Kalafina」の解散後はソロ活動を行い、2023年には武部聡志氏がプロデュースしたオリジナルアルバム「そのさきへ」をリリースしています。ボタニカルボイスとも称される彼女の透き通った歌声が印象的なカバーです。

渋谷龍太(SUPER BEAVER)- 時には昔の話を(映画「紅の豚」より)
「紅の豚」は、宮崎駿の短編漫画を映画化した長編アニメーション作品。ファシスト党の台頭する1920年代のイタリアを背景に、呪いを受けて"豚"となった中年パイロットの活躍を描いています。同作のエンディングテーマ「時には昔の話を」をカバーしたのは、4人組ロックバンド「SUPER BEAVER」のボーカリスト・渋谷龍太。「加藤登紀子さん原曲で “完成している楽曲” を自分がどんな風に対峙すべきか悩んだが、短い時間ながら集中してこれだというものができたんじゃないかと思う。バンドマン・ボーカリスト冥利に尽きる時間で、光栄な機会でした。」と語る渋谷の力強い歌声が轟く一曲です。
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プロデューサーは数々のヒット作を手がける武部聡志氏

豪華アーティスト12組によるスタジオジブリのトリビュートアルバム「ジブリをうたう」。ここからは、アルバムのプロデュースを手がけた武部聡志氏と、氏が今作に込めた想いについてご紹介します。

音楽の巨匠、武部聡志氏が贈るスタジオジブリの音楽
「ジブリをうたう」のプロデューサーを務めたのは、映画「コクリコ坂から」「アーヤと魔女」で音楽を担当した武部聡志氏。一青窈・今井美樹・ゆず・平井堅・JUJUなど、多くの著名なアーティストのプロデュースに、数々のテレビドラマや音楽番組を手がけてきた巨匠で、近年では映画「THE FIRST SLAM DUNK」や「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT”」の音楽にも携わっており、さまざまな分野で手腕を振るっています。

「誰もが一度は耳にした事のある、そして映画のシーンを思い浮かべることの出来る珠玉のナンバーを、今日本の音楽シーンで輝いているアーティストがそれぞれの解釈でカバーする、そんな贅沢なアルバムを作りたかった」「全てのアーティストが最高のパフォーマンスをしてくれているこのアルバムを聴いて、改めてジブリの「音楽」を共に感じることが出来たら嬉しいです」と氏の熱い想いが込められた渾身の作品です。

まとめ

武部聡志氏プロデュースのもと制作された、スタジオジブリ名曲群のトリビュートアルバム「ジブリをうたう」。オリジナル楽曲のよさはそのままに、12組の豪華アーティストそれぞれの個性的なアレンジがブレンドされている本作品。アーティストのファンはもちろん、各作品・各楽曲のファンにもぜひ注目いただきたい作品といえます。本作をきっかけに、改めてジブリ作品の美しい世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。