いまさら聞けないSixTONESのトリセツ6

ライター:田中 久勝
2025年1月22日にデビュー5周年を迎えたSixTONES。これまでその挑戦的・革新的な音楽性で多くのファンを魅了し続けてきた。そんな彼らのデビュー曲「Imitation Rain」を含むシングル表題曲をすべて網羅した全66曲のサブスク配信が、5月17日にスタートし注目を集めている。これまで発表した楽曲は全て各種音楽チャートの1位を獲得。多くの人気アーティストから楽曲提供を受け注目を集めてきたほか、6人それぞれが俳優、タレントとしても大きな飛躍を見せている。アイドルグループというイメージを強く持っている人も多いと思うが、最先端の音楽集団でもある。彼らの音楽を純粋に楽しんでいただくべく、今回は「いまさら聞けないSixTONESのトリセツ6」と題して彼らの魅力を紐解き解説したいと思います。
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1. 眩しいくらいの才能:強烈な個性を持つ6人が起こす化学反応


SixTONESはジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の6人で2015年に結成。グループ名には6つの強烈な個性=「6つのトーン」=それぞれの才能を生かし活動していくという思いが込められている。2018年のYouTubeチャンネルへの出演をきっかけに注目を集め、翌年単独公演を成功に収めた。これを機に、高度な歌唱力とパフォーマンス力を持つSixTONESの存在がクローズアップされ始めることとなった。そして、2020年1月22日にYOSHIKI (X JAPAN / THE LAST ROCKSTARS) が作詞・作曲・プロデュースを手掛けた「Imitation Rain」でデビュー。スペシャル感――SixTONESの6人を見ているとそう感じる。それぞれの強烈な個性はもちろん、ヤンチャでガムシャラで、面白くて、熱くてクールで、美しくてスタイリッシュ。それが眩しいくらいの“才能”になって、観ている側を楽しませてくれる。満を持してスタートした民放初冠番組『Golden SixTONES』を観ていると、そんな彼らの魅力が伝わってくる。ちなみにSixTONESのリーダーは、毎年年始に「じゃんけん」で決められる習わしで、2025年は森本が務めている。

2. 幅広い音楽性:ファンの想像の遥か上を行く新作を出し続ける


全曲メンバーのこだわりが凝縮され、その高い音楽性にはファンならずとも耳を奪われる。その中でも人気曲、ファンからの支持が高い曲をセレクトすると、6つの歌声とそれが重なり紡がれるハーモニーが魅力のデビュー曲「Imitation Rain」はもちろん、彼らの名刺代わりの一曲ともいえる「こっから」(2023年) は、日テレ系人気ドラマ『だが、情熱はある』の主題歌として広く親しまれ、MV再生回数1億回を突破した。ブレイクビーツが作り出す圧倒的なスピードに乗って繰り出される溌剌としたラップ、6人の怒涛のマイクリレーは、前向きなメッセージを聴き手に熱く届ける。ちなみこの曲の前作は全く違う音楽性で、ドープなヒップホップチューン「ABARERO」。そうやって6人は常に、新作を待っているファンの想像の遥か上を行く作品を提示し、音楽的なチャレンジを続けてきた。そして自らを“更新”し続けているがゆえ、常に最新作が最高傑作だ。また、常田大希 (King Gnu / millennium parade) が提供した「マスカラ」は、彼らがキャリアを重ねれば重ねるほど表現力の豊かさによって曲の表情が変わっていく楽しみ方ができる傑作だ。加えて、やはり「Good Luck!」「NAVIGATOR」や「わたし」などのヒットシングルが必聴であることも言及しておきたい。ヒップホップやロック、ファンク、R&Bなど多彩な音楽ジャンルと向き合い、そこに自分たちのカラーを加え、唯一無二のSixTONESの音楽を作り上げている。

3. 数々の豪華アーティストが手腕を振るうその才能


YOSHIKIやKing Gnuの常田大希をはじめ、これまでにさまざまなアーティストが楽曲提供をしていることもSixTONESの「凄み」を語る上で欠かせない要素の一つだ。2025年1月15日に発売された5枚目のオリジナルアルバム『GOLD』も湘南乃風、Kroi、マキシマムザ亮君 (マキシマム ザ ホルモン)、コリン・ブリテン (Linkin Park) という多彩なアーティストが楽曲提供し、話題を集めた。さらに6月4日にリリースするシングル『BOYZ』のカップリングに収録されるソロ曲には玉置浩二、菅田将暉、平井大、T.Kuraというビッグネームが名を連ねる。ありとあらゆる音楽に貪欲に取り組んできたその姿勢、声の質感が全く違う6人の声、それぞれの表現力、それがひとつになった時の芳醇で豊潤な歌、そんなストロングポイントに、さまざまなアーティストがクリエイター魂をくすぐられ、コラボレーションが生まれているのだろう。

4. 6人6様の声が織り成す奇跡のバランス


「言葉は耳から頭にくる。声は耳から胸にくる」(英文学者・小田島雄志) という言葉があるが、言葉とメロディを伝える、一人ひとりの声の表情が胸を打つ。“息”の変化が“声”で、それが交差したり、重なったりすることで、感動が増幅するということをSixTONESの歌は実感させてくれる。センターでメインボーカル・ジェシーは広い音域と全ての人を包み込むような豊かなボーカルを特徴とする。もう一人のメインボーカル・京本は美しいハイトーンを響かせ、どんな曲にも極上のハモリで彩りを与える。松村の声域の広さも特筆もので、深みのある低音と切なさを感じる高音がドラマティックな世界を作り上げる。髙地は親しみがある柔らかなハスキーボイスで、声と声の架け橋となりユニゾンの強度を高める。森本の甘くグルーヴを感じる声はファルセットが美しく、田中のしなやかでクールな色気漂う声から放たれるハードでクールなラップは、SixTONESにおいて唯一無二のスパイスとして輝きを放つ。これらの声が一曲の中で交差し、SixTONESのカラーと世界観を生みだし、聴き手の心に突き刺さる。さらにはユニット曲、ソロ曲でも楽しませてくれ、彼らが描く歌の世界の深さは無限だ。

5. ライブにかける想い:一切の妥協を許さないステージへのこだわり


SixTONESは、メンバー全員がジュニアとして約10年間切磋琢磨してきた。そして2015年にグループを結成。瞬く間に大きな注目を集め、絶大な人気を誇ったが、なかなかCDデビューできずにいた。そんな先の見えない状況で活動を続ける6人にとって、ライブはそのときの自分たちの力、それがファンに届いているのかどうか、ファンの反応をダイレクトに知り、感じることができる唯一の“場所”であり“時間”だった。だから、客席と一体となってライブをとことん楽しみ、ファンを全力で喜ばせ、そこに自分たちも歓びを感じる。全速力で駆け抜け、息を切らし、汗だくになっても“魅せる”。そんなライブが6人の生き様とばかりに、高濃度のエネルギーを、客席の一人ひとりに向け解き放つ。そこには熱狂が生まれ、一公演一公演がお互いにとって忘れられない思い出になる。それがSixTONESのライブスタイルで、ライブの規模が大きくなってもその魂は変わらない。
ライブのチケットがなかなか獲れないという人は、ライブBlu-ray・DVDでもその魅力を存分に楽しむことができる。デビューを目前にした彼らの心情が伝わってくる「TrackONE -IMPACT-」(2020年)、1stアルバム「1ST」を引っ提げたツアー「on eST」からは迸る熱が伝わってくる。2ndアルバム『CITY』を携えたツアー「Feel da CITY」は、コロナ禍で声を出せない状況のなか、メンバーとファンが喜びを噛みしめた。デビュー後初のツアー全公演完走を果たし、完走できなかった前年のツアーのリベンジとなった。3rdアルバム『声』を引っ提げたツアー「慣声の法則」は追加公演で初の単独ドームライブが実現。東京ドーム公演には、初日にYOSHIKI、3日目には常田大希がゲスト出演し、夢のコラボが実現した。4thアルバム『THE VIBES』(2023年)の世界を伝えるツアー「VVS」は、ドームの中央に360度ステージを作り、生バンドの演奏で歌い、熱狂を生み出していた。

SixTONESがこれまで紡いできた楽曲のメロディ、一人ひとりの声、歌唱力、表現力、その世界観の芳醇さを実感するなら『バリア』MTV Unplugged盤(2024年)は必見だ。キャリアを重ねて醸成されたアーティスティックな部分を、ここまで感じさせてくれるライブはこれまでなかったのではないだろうか。そういう意味でもこの映像は貴重だ。2025年も5大ドームツアー『SixTONES LIVE TOUR 2025「YOUNG OLD」』を終え、その映像商品のリリースが待ち遠しい。

6. 類まれな6つの才能が重なって生まれるまばゆい輝き


それぞれがそれぞれのフィールドで輝きを放っているのもSixTONESの強さの成分だ。

ジェシーは主演ミュージカル「ビートルジュース」に出演、バラエティ番組でも大活躍しているほか、京本大我は数々の人気ミュージカル作品に出演し、今やシーンに欠かせない存在になっている。さらに2024年にクリエイティブ・プロジェクト『ART-PUT』を始動させ、歌やダンスなどのパフォーマンス、そして写真や映像作品などを発表し、“表現者” 京本大我の頭の中、心の中に存在する衝動と感情を映しだしている。2025年4月23日には自身で全て作詞作曲を手がけた初のCDアルバム『PROT.30』をリリースし、大きな話題を集めている。松村は、俳優として『カムカムエヴリバディ』(2021年)で朝ドラ初出演を果たし、映画『すずめの戸締まり』(2022年)では声優にも活躍の場を広げるなど、数々の話題作に出演。2025年2月公開、主演を務めた映画『ファーストキス 1ST KISS』は大ヒットを記録した。髙地は、温泉ソムリエやキャンプインストラクターなど多数の資格を持ち、なんでも器用にこなす多才さとそのトーク力で情報番組、バラエティ番組に引っ張りだこだ。俳優として4年半ぶりの連続ドラマ『ムサシノ輪舞曲』(テレ朝系)にも出演したことも話題を呼んだ。森本は、昨年『DREAM BOYS』(帝劇)に出演し、俳優として映画・ドラマへの出演が相次ぎ、映画『正体』で「第48回日本アカデミー賞 話題賞」に選出された。田中も映画、ドラマへの出演が続いており、2025年8月からは初単独主演を務める舞台『ぼくらの七日間戦争2025』がスタートし、11月まで全国で上演される。
それぞれの「場所」で手にしたこと、感じたことをSixTONESに持ち帰り、刺激的な音楽とライブをクリエイトし、その世界観を磨き上げる。世界で勝負するSixTONESの未来予想図が、はっきりと見えてきた。
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